STEP3 会社の組織を整える
役員報酬を決定する

「もらい過ぎ?」それとも「遠慮し過ぎ?」
意外に難しい社長の報酬、役員の報酬の金額設定

社長の報酬に関する基本的な考え方

社長の報酬は、何を基準に決定したらよいでしょう?

金額の一般的な目安としては、小規模会社のケースでは社員の給料の3~4倍を社長の報酬額とすることが多いようです。しかしそのように単純に金額を決めてしまうのではなく、会社の支払い能力、責任の重さ、業務の重大さなどを総合的に判断して決定するようにします。

小規模会社の社長はひとりで何役も兼ね、重大な責任をひとりで背負っていることが多いものです。また会社が借入をする際は通常、社長個人が会社の保証人になりますから、実質的な会社への貢献度、業務内容の重要さ、担っている責任などを考えるとそれなりの報酬を得てしかるべきです。

しかし「会社の支払い能力」をしっかり考え併せることも大切です。会社の利益が充分でないのに役員報酬をはずんでしまえば、当然会社は赤字になってしまいます。
とくに設立当初は思わぬ出費もありますので、利益計画と慎重に照らし合わせ、社長の1年分の報酬が会社として支払えるかを判断します。

経営者として自分の報酬をどう設定するか?――役員報酬3つのスタイル

役員報酬のスタイルとしては「定額方式」「定額+業績連動型」「全額業績連動方式」の3つが代表的です。

定額方式 「1か月当たり50万円」というように、毎月一定額を支給するスタイル
定額+業績連動型 一定額に加え、業績に応じた報酬を支給する形態。「売上高×○%」「営業利益×○%」など、あらかじめ決めた方法で連動部分の金額を算出する
任意的記載事項 報酬の全額を業績に連動させ支給する方法。報酬額は「売上高×○%」「営業利益×○%」というように計算され、毎月変動するる

多くの会社が上記のうち「定額方式」を採用しています。というのも、業績連動による報酬については、一定の条件を満たさない限り法人税法では「経費」にならないためです。
一方、定額方式では経費として認められ、税金を減らすことができます。

役員報酬の意味合いを正しく知って、相応な額を設定しよう

役員報酬は「労働の対価」という意味合いで支払われるわけではなく、「職務遂行の対価」です。たとえ小規模会社で株主も役員も自分であるとしても、役員としての自分は株主から会社経営を委任されている立場です。その職務を遂行することへの対価として報酬があります。
そのため形式上のことですが、役員報酬は株主総会の決議を経て支給する手続きをとる必要があります。
報酬の金額も社長個人の一存で決めるのではなく、定款で定めるか株主総会で定めるものなのです。

役員報酬の勝手な増額は違法――損害賠償責任を負うことも

役員報酬の額は、
 ①定款で定める
 ②定時株主総会で決める
という2つのやり方がありますが、通常は定時株主総会で決定されます。というのも、役員報酬をずっと変更しないという会社であれば定款に記載する方法でもよいかもしれませんが、もし報酬額を増額するときには定款変更の手間と費用がかかるからです。株主総会のほうがずっと変更手続きが簡単ですから合理的です。
小規模会社は、毎年一度は定時株主総会で報酬額の見直しをしていくとよいでしょう。

こうした手続きをきちんととらず、役員報酬の額を勝手に増額することは違法行為に当たります。

定款もしくは株主総会で決められた役員報酬を、適正な手続きをとらず勝手に増額すると「会社法違反」という犯罪になります。これは、毎月定額50万円の報酬をある月から勝手に60万円に増額することも違反ですし、ひと月だけ増額することも違反です。
こういった行いは、社長が個人の利益を優先させて、会社に損害を与えたとみなされ、会社に対して損害賠償責任を負うことになります。また会社法に反するだけでなく、法人税法上からも、勝手に増額したぶんは経費とは認められません。

反対に業績が悪化してしまい役員報酬を減額したいときも、きちんと株主総会で決議をし、減額の理由や計算を明確に記録することが望ましいでしょう。
減額は会社にとって損失にはなりませんので、勝手に行っても会社法違反にはなりません。
しかし法人税法上、どのような変更もその理由や内容の詳細、承認の議事録に明らかにしておくことが求められます。

極端に役員報酬が高いと税務署が経費として認めないケースもある

たとえ適正な手続きを踏んで役員報酬の額を決めたとしても、「報酬額が高額すぎる」「高額である合理的な理由がない」と税務署に判断されると、法人税法上、経費として認められません。実際にどのくらいの額であるとこういった判断が下されるのか、その基準は明らかにされていません。
「専門家と相談して、同業他社のデータを参考にする」「社員の給料と自分の給料のバランスをとる」などして、金額が「相当」と評価されるように決定することを心掛けることも大切です。

役員賞与はきちんと決議・届出をして税金を軽減しよう

会社法上も会計上も、役員賞与は報酬と同じように扱われます。支給するときには前もって支給金額と支給時期を株主総会で決議し、税務署に届出をするなどの一定の要件を満たせば経費として認められます。
役員賞与の支給を税務署へ届け出ないと、会社法違反にはなりませんが経費にならず、法人税が余計にかかってしまいます。個人の所得税がかかる上に、会社には法人税がかかってしまい、二重に税金がかかります。

社長の家族は従業員の身分でも「みなし役員」とされるので要注意

役員は、株主から経営を委任されている立場にあり、同時に大きな権限を持っています。よって役員報酬や賞与を、自分の個人的な利益のため勝手に采配してしまうことのないよう、法律上のさまざまな取り決めがあります。

その一方で、従業員の給料はかなり自由に変更でき、事業年度の途中でも増額できますし、臨時賞与を出しても法人税法で経費と認められます。

そのため、社長の家族を役員にせず従業員の身分にして、自由に給与アップや賞与を出したほうがよいのではないかという考えが浮かぶかもしれません。しかしこういったケースでは、家族は従業員とは認められず役員とみなされ、給与や賞与が経費と認められないのです。これを「みなし役員」といいます。

役員とみなすには一定の要件がありますが、社長の家族に関しては基本的に役員とみなされると考えたほうがよいでしょう。

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