STEP1 会社の仕組みを知る
取締役と代表取締役の責任

取締役は「株主から委任を受け経営にあたる者」
たとえ「株主」兼「社長」であっても充分な覚悟とけじめが必要

株式会社の設立は、取締役1名から可能――コンパクト経営の利点を活かそう

株主総会で株主から委任されて会社の経営に当たるのが「取締役」です。
会社法では株式会社に取締役の人数規定があり、必ず1名以上決めるよう定められています。

かつての法律では会社の規模に関わらず3人以上の取締役・1人以上の監査役を選任しなければなりませんでしたが、会社法の施行によって設立方法も株式会社のシステムも簡素化され、社長1名を取締役にするだけで株式会社を設立することができるようになりました。
小規模会社では、取締役が会社の社長ひとりだけ、というパターンも多くみられます。そのケースでも、もちろん「代表取締役」と名乗ることができます。

取締役が2名以上いる場合、取締役会を置かない会社では「定款」「取締役同士の決議(*1)」「株主総会の決議」によって、「代表取締役」を選びます。
取締役会を置く会社では、取締役会で代表取締役を選びます。
(*1)定款でそう定めている場合に限ります。

代表取締役の責任は大変重いもので、代表取締役が第三者に対して業務上の損害を与えてしまった場合、会社は損害賠償責任を負います。

取締役の2つの職務――「業務執行権」と「代表権」

取締役は「業務執行権」と「代表権」に基づいて権利を持ち、職務を負います。

業務執行権

取締役は会社の業務を執り行います。
2名以上の取締役がいる会社では、取締役の過半数で業務執行を決定します。

代表権

取締役は会社を代表する存在です。
2名以上の取締役がいる場合は、基本的にそれぞれ代表権を持ちますが、代表権をひとりに集中させたいときは、ひとりの取締役を「代表取締役」とします。その場合、ほかの取締役は代表権を持ちません。

取締役の2大義務――「善管注意義務」と「忠実義務」

取締役は会社の経営上の意思決定の権利を持ち、業務の執行を担当し、対外的に会社の代表として行動するという大きな権限を有していますので、同時に大きな責任と義務を負っています。
ここでは「善管注意義務」と「忠実義務」について解説します。

善管注意義務(善良な管理者としての注意義務、の意味)

取締役は、会社から経営のプロとして委任を受けて職務に当たっています。
その際、取締役という地位にある者として一般的に要求される程度の注意を払って業務を行う義務を負っています。
この善管注意義務は、医師や弁護士にも課せられていますが、医師の場合は患者から「医療のプロ」として委任を受けて診断・治療という職務に当たっています。ところが医師が当たり前に払うべき注意を怠ったために患者さんの重大な病気を見逃した、あるいは基本的に行うべき処置を行わなかったために患者さんの生命に重大な危機を招いた、といったときは善管注意義務違反が問われます。

取締役は会社から「経営のプロ」として委任を受けていますが、取締役が当たり前に払うべき注意を怠り、たとえばよく調査もせずに店舗数を無謀に拡大して会社に損害を与えたとなると、善管注意義務違反となり損害賠償の責任が生じます。

ただし、会社に対して損失を与える可能性がある行為すべてが禁止されているわけではありません。
リスクを孕んだ挑戦的な施策をひとつも行わなければ、会社としての成長も発展も望むことはできないからです。

忠実義務

取締役が負う忠実義務とは「取締役は、会社の利益と自分の利益が相反する場合、会社の利益を優先させなければならない」というものです。
会社法では「取締役は法令、定款、株主総会の決議を遵守し、会社のため忠実にその職務を行なわなければならない」と書かれていますが、その意味するところは、経営を委任された取締役は個人の利益でなく会社の利益を先立たせよということです。

取締役の損害賠償責任

取締役は以下の行為があった場合、会社に対して損害賠償責任を負います。

任務を怠って損害を株式会社に生じさせたとき

取締役は法令、定欽、株主総会の決議を遵守し、その職務を遂行しなければなりません。しかし通常、期待される任務を怠ったために会社に損害を与えた場合は、賠償責任が生じます。

違法な自己取引

取締役が会社と取引を行う場合、利益相反取引(一方の利益になり、他方へは不利益になる取引)の可能性があった上で会社に損害が発生したときは問題となります。その取締役や、その取引の決定・承認に関わった取締役は、会社への任務を怠ったものと推定されます。

「利益相反取引」によって会社に損害を与えたとき

取締役は法令、定欽、株主総会の決議を遵守し、その職務を遂行しなければなりません。しかし通常、期待される任務を怠ったために会社に損害を与えた場合は、賠償責任が生じます。

「競業取引」を行い会社に損害を与えたとき

取締役は職務上、会社の経営・経理・技術などに関する企業機密を知りうる立場にあり、会社の機密保持の重い義務を負っています。従って取締役自身が会社と同じ業種の事業を営むことは制限されています。この制限に反して競合取引を行い会社に損害が生じた場合は賠償責任を負います。

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