STEP1 会社の仕組みを知る
株式と株主
株主は「株式会社のオーナー」として権利を行使する存在
よって小規模会社では、「誰を株主にするか」をコントロールする措置が必須となる
株主が持つ2つの権利――「議決権」と「代表権」
株主は会社に出資をして、会社のオーナーとなります。その見返りとして、原則として2つの権利を持ちます。
「議決権」など、会社経営の監督をする権利
取締役は会社の業務を執り行います。2名以上の取締役がいる会社では、取締役の過半数で業務執行を決定します。
代表権
株式会社の最高の意思決定機関は、株主総会です。株主が出席し議決を行う場で、会社の重要な意思決定については株主総会の承認が必要です。
株主はオーナーとして、会社の経営が適切に行われているかどうかチェックし、重要事項の決定に参加する権利があります。
株主が「有限責任」だと、会社側にもメリットがある
株主は株式の価額を出資しますが、この出資額を限度とする「有限責任」を負います。
たとえ会社の経営が悪化し多額の負債を抱えて倒産しても、株主が負債を返済するよう請求されることはありません。
出資した資金が債務の返済に充てられることはありますが、それ以上の資金の提供を求められることはないのです。
有限責任は、出資者にとってリスクが限定されているため出資しやすいシステムですが、これは同時に会社側のメリットにもなっています。
負債を抱える恐れがなければ出資に積極的になる人々が増えますから、出資を集めやすくなります。
買収・乗っ取りの脅威を防ぐ「株式譲渡制限」は、小規模会社に必須のシステム
株主は、オーナーとして経営に口出しをする一定の権利を持っています。
ですから会社にとって好ましくない人物が株式を所有し、経営について好ましくない口出しをすることがあり得ますが、それは避けたい事態です。
株式は原則として株主間で自由に売買できますが、このようなケースに対処する方法として「譲渡制限」を設けることが認められています。
「当社の株式を譲渡する場合は、株主総会の承認を必要とする」という決まりを作ればこの問題を防止することができます。
この譲渡制限は一部の株式(特定の株主)のみに限定することもでき、特定の人物の株譲渡に待ったをかけることができます。
会社が制限をかけて譲渡を認めなかったケースについては、会社がその株式を買い取るか、ほかの売却先を指定します。
規模の小さな会社では、株式の取得による乗っ取り、追い落としなどもされやすいため、株式の譲渡制限は必須です。
株式譲渡制限会社(非公開会社)――旧有限会社のよい特徴を継承
会社のすべての株式について譲渡制限をしている会社を「株式譲渡制限会社(非公開会社)」といいます。
株式を譲渡するときは会社の承認が必要で、閉鎖的といえますが、これは必ずしもよくない性質とは限りません。
閉鎖的である会社にはそれなりの利点があり、実際かつての有限会社のよい点を継承しているともいえます。
株式をすべて譲渡制限し、会社の機関(意思決定の仕組み)をシンプルに設定すれば、旧有限会社スタイルのシンプルな経営ができます。取締役1名で設立でき、監査役も不要です。
公開会社――外部に開かれ飛躍も期待できるがリスクも大
非公開会社に対して、「一部の株式だけを譲渡制限している」「いっさい譲渡制限をしていない」株式会社を「公開会社」と呼びます。
ここでいう公開会社は、一般で用いられる「上場会社」という意味ではありません。株式上場をしていなくても、1株でも譲渡が自由な株式を発行していれば会社法で公開会社とされます。株式譲渡制限の面から行った、会社法の区分です。
公開会社には必ず取締役会を設置しなければならないので、取締役を3名以上置く必要があります。よって株式をすべて譲渡制限するか、一部だけにするかという問題は、会社の根本的な仕組みに関わってきます。
上場するには株式譲渡制限をはずさなくてはならないので上場=公開となる
上場していなくても、1株でも譲渡が自由な株式を発行していれば公開会社となる
譲渡制限をする具体的な方法
譲渡制限をするとき特別な届け出等はいりませんが、会社の決まりを定めた「定款」にその旨を記しておく必要があります。
また文面上「当会社の株式を譲渡する場合には、株主総会の承認を受けなければならない」という部分を変更して「代表取締役の承認を受けなければならない」と設定すれば、代表取締役ひとりが株主構成をコントロールすることができます。
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